
第六段 しかるべきあたひ

相変わらず入院中の梅蔵ちゃん。
危機的状況は脱しているものの、 どうにもつるんと治ってくれない。
先生曰く、「抗生剤が効かない」んだそうだ。
梅蔵ちゃんの値段は「1900円」。
これでもホームセンターの安売りよりは、なんぼかたくさん払っている。
これが今時のセキセイヒナの相場なんだろうけど、 この値段で売ろうとすると、 輸送コストやらなんやら考えたら、 途中で死なれたら大損だろう。
「売れるまで生きていれば、それでいい。」
もしブリーダーで生計を立てていたなら、私もそう思うかも。
生業にする以上、命であっても、「商品」であり、 「腐らず納品」は、至上命題でしょうな。
何も鳥屋のおじさんが悪いわけじゃない。
だからといって、ブリーダーが悪い、というわけでもないだろう。
あえていうなら、お金ですべてを解決する資本主義か?
お金で梅蔵ちゃんを買った私もまた、 そういう経済システムを利用している。
でもそれで、幸せが手に入ったのもまた、事実なわけで。
まだ1900円なだけマシですがな、奥さん。 犬なんて、血統書なんてやっかいなモノがついてるから、 悲劇がなくなりまへん。 セキセイでダマそうなんて輩はおらんがな。
安くて儲かんないもんね。
梅蔵ちゃんは、まだ全然治ってはいないものの、 危機的ではない、ということで、 とりあえず一週間で退院しました。